コラム 人事の過労と働き方改革について
採用の仕事に従事していると必ずぶち当たるのが激務の壁です。
人が転職する際に動きやすい時間は仕事が終わってからです。
学生さんが動きやすい時間は授業後です。
採用担当の活動時間は自ずと人が働かない時間になります。
そうなると、休日や夜に面接やら説明会をする事になる。
じゃあ平日昼間は暇かというと、そういうわけではない。
私が採用の仕事を始めて約10年。
特にこの4年間で採用担当者の仕事量は2倍近くに増加している。
何故なら、市場の変化だ。
リーマンショック時は楽だった。
採用企業は少ないし、皆、辞めて行かなかったからだ。
競合は少ないし、自社からも人が出て行かない。
今は真逆だ。採用企業はやたら増えたし、自社の人間も外資系企業はガンガンお金にモノを言わせてヘッドハンティングしていく。
(ちなみに、お金が高いとその分リスクも高いのだが、覚悟があるかはその人次第だ。Humaniaは昔、外資系企業に居た時に、成果の横取りや裏切りやらでウンザリしていた時期もあります。)
加えて、ビズリーチの台頭により、スカウト業務。indeedの台頭により、マーケティングとプロモーション、SEO対策業務。
さらに更に、辞退や退職を防ぐ為の業務。
モチベーションアップ研修業務。
働き方改革に向けた対策に関連してか、
労基署による抜打ち検査の増加。(毎回思うが、大きくて近くて狙いやすいところではなく本当のブラック企業狙って欲しい。)
ハラスメント系のコンプライアンスチェック増加。
副業認可による競業避止確認。
自由な働き方の模索
などなど、採用も人事も負担は年々増加している上に、採用市場の激化により様々な手段を取らざるを得ない状況になって来ている。
そうなると人事専門家の求人も増えてくるが、バックオフィスにお金を回す考えを持つ経営者は少ない。
安い賃金でしか採用予算を立てられない。
そして良い人事は外資系企業に掻っ攫われたり、ベンチャー企業に人事は流れていく構図だ。
私はもう、ベンチャーと外資で散々な思いをしたので、目先の金額では動かず、キャリア形成で有利な今の会社に残るが、お仲間はヘッドハンティングされていき、
遂には5人居なくなってしまった。
そうなると残るメンバーに負担が重くのしかかり、今では会社で一番残業している部署になってしまった。
80時間は超えるが、我々は労使協定と現行法を知り尽くしているので、ギリギリラインで働いている。
半年間は80時間ギリギリ。半年間は55時間未満に抑えている。
コレが3年続いたので、先月に遂にめまいで倒れてしまいました。
目が回るってこういう事なのね。
人事が最も過酷な仕事場になりつつあるけれど、経営者にとっても来年の残業規制や有給付与は人事にとっても頭の痛いものです。
情報交換中の他社人事達も同じ状況で、うちの会社に限ってないようだ。
おかげさまでめまいと頭痛と過労についての知識はかなり得られたので、
他部署の労務業務に活かせる…ではなくて!
来年からは新法律が走り出すので、それまでに人事も働き方を改善しなければ、大多数の企業のバックオフィスは機能停止するかもしれない。
と考える一方で…法律でガッチリ縛れば自ずと仕事は効率化されていくのも知っています。。
ハラスメントと受動喫煙がいい例です。
ハラスメントも実際増えているように見えるけど、明らかになっているだけで実数は減ってますよね。
昔ほど酷くないですよね。
だって、ハラスメントや受動喫煙は昭和と今とでは段違いだもの。
(私が新卒の時、大手でも殴られてる人沢山いたけど、今はほぼ居ないよね。)
というわけで、来年は試練の年ですが、人事の皆様、頑張っていきましょう。